はじめまして、免疫学分野の横須賀です。平成27年4月より、教室を主宰させて頂いております。12年間在籍しておりました前任地、理化学研究所統合生命医科学研究センター(前免疫・アレルギー科学総合研究センター)とは打って変わり、大都会の中の歴史ある医科大学に赴任し、教室立ち上げに、学生教育に、日々邁進しているところです。
東京医科大学は来年創立100周年を迎え、副都心にある大学病院の建て替えなど記念事業に向けた取り組みで活気に湧いております。東京医学専門学校(東京医科大学の前身)の創立には、学校側と対立した日本医学専門学校(日本医科大学の前身)を同盟退学した学生450人が、理想とする学びの場を自らの手で作り上げる、という劇的な歴史秘話がございます。また、昨今の医学部人気と地の利の良さから入学して来る学生の質も上昇し、建学の精神「自主自学」の下、学生は自由な雰囲気の中で文武両道の学生生活を謳歌しております。
そんな中、免疫学分野では、獲得免疫系の中心的役割を果たすT細胞・B細胞のシグナル伝達機構の基礎研究を行っています。特に、T細胞の活性化に必須な「免疫シナプス」、それを構成する活性化シグナルユニット「マイクロクラスター」を先端的手法によって明らかにするなど、免疫細胞における分子イメージングのさきがけ的研究を推進してきました。このミクロな視点からの時空間的研究によって、T細胞の活性化制御機構のみでなく、免疫不応答のメカニズム、疲弊細胞の回復とがん免疫の賦活化、ユビキチンによるT細胞シグナルの終焉と発がん制御、シグナル伝達を担う新たな細胞骨格の機能など、これまで分からなかったさまざまな免疫応答の詳細が明らかなりつつあります。一方、基礎研究と臨床医学とをつなぐトランスレーショナルリサーチの観点から、これら基礎研究を応用した自己免疫疾患やアレルギーの病態解明や治療・予防法の開発、悪性腫瘍の発症・進展における炎症の役割や腫瘍に対する新規治療ワクチン開発などにも取り組んでいます。
まだ駆け出しの教室ですが、生命科学の核心に迫れるようなサイエンスを、また臨床応用に繋がるイノベーティブな研究を展開できるよう取り組んでいます。免疫を学びたい、研究したいという志しのある方は是非、教室の門を叩いていただければ幸甚です。
平成27年8月8日
免疫学分野 横須賀忠